この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ

人生で一番幸せな買い物ってゼクシィじゃない???

風早翔太の話をしようか

風早翔太の話をしようか。

 

みんな、風早翔太は知ってる?2020年現在20代中ごろから後半の女性はきっと知ってると思うけど、別冊マーガレットに連載されていた漫画、「君に届け」に出てくるヒロインの相手役で顔よし性格よしの完全無欠私たちの彼氏である。

 

詳しくはWikipediaでも読んでほしいけど→https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%90%9B%E3%81%AB%E5%B1%8A%E3%81%91

まあせっかっく語るんだからちょっと解説しておくと、ヒロインはその見た目のせいで貞子と呼ばれている黒沼爽子がクラスメイトの風早翔太、矢野あやね、吉田千鶴、真田龍、etc...などと交流しながら風早翔太とのどぎまぎ恋路を進めたり、クラスメイトとの壁を壊していく恋愛サクセスむねきゅん純粋ストーリーである。

 

私がこの漫画を読み始めたのは中学生だった。世間の厳しい現実も自分の器量も分かっていなかった、自分はなんにでもなれるのだと信じて疑わなかった中学生のあの頃、私たちは風早翔太に出会ってしまったのだ。風早翔太は人を見た目で選ばない。人の内面を見てくれる。性格さえよければきっと私にはイケメンで優しい彼氏ができるのだと素敵な夢を見させてくれた。

 

自分が顔も性格もたいして良くないと知ったのはそう遠くない未来だ。

 

世の中には本当に性格がいい人がいる。どういう育ち方したらそんなに汚れを知らない心を手に入れられるんですか?!というような人物が100人に1人くらいいる。爽子はそういう人なんだ。

私には爽子みたいに人の喜びを一緒に喜び、人の悲しみを一緒に悲しむような心は持ち合わせておらず、人の幸せを妬み、自分と同じ不幸レベルに落ちてこないか下から足を抱えて待っているような、そんな人間だったのだ。そしてよくよく読み直してみたら風早は爽子の笑顔に初対面で一目惚れをしていたのだった。なんだよ結局顔かよ。

 

そして風早翔太や爽子のような人間は、大抵人生がうまくいくようにできている。家族愛があり、良い友人に恵まれ、多少の困難はあれどそれすら美談になるような人生。私からすれば、そんな人生を覗き見するのはもはや呪いと化した。

 

以前は、もう主人公が年下になって読めなくなった、という理由で新刊を買っていなかったのだが、今は「約束された勝利を手にした若い男女の話が読めない」という理由で続きを読めていない。

現実でもそうだ。大学まではみんな恋人がいるだのいないだの、付き合ったの別れたの色々すったもんだした。しかし、20代も後半に差し掛かろうとする今、みんな自分の人生に「王手」をかけようと、人生の選択を「置きに」きている。まさに「約束された勝利」である。私はそんな彼らの人生という物語を覗き見するのが耐えられない。自分から家族の手を離し、かといってこれから先の長い道を一緒に歩く人もいない私。はたやこれから「人生ハッピーレールセット」という名の、世間一般に幸せな人生と呼ばれるのに必要な要素を全て踏みます!という2人。私はどこで間違ってしまったんだろう。いや、間違いなんかじゃない、別に間違っていない。そうは思ってもハッピーレールに乗った2人と自分の今の状況を比べずにはいられない。書いていて気が狂いそうだ。

 

なんか途中から風早翔太関係なくなってきてしまったが、つまりは私にとって、風早翔太は「理想の彼氏」から「私の人生における呪いの概念」へと変質してしまったというわけだ。普通に生きてただけなのにこんなに悲しいモンスターが生まれてしまうとは本当にこの世はクソである。

 

こんなにひねくれてしまったのには色々訳があるのだがここでは割愛させていただく。

 

他人と比べない、強い心が欲しいね。